テーマ28 部下への仕事の指示の仕方と部下の仕事の進捗管理の方法
■部下に仕事を与える時は、部下には、時間がかかっても
仕事の全体像、目的を説明し、自分と同じ目的を共有する
管理職の方々を対象とした研修の中では、
「部下に仕事の指示をする際に、部下に対し、
仕事の全体像や目的をほとんど説明していない」
という、お話しをよく聞きます。
部下へ仕事の指示をする前には、仕事の全体像や目的など、
部下に何を伝えておくべきかをよく考え、
その内容を踏まえて仕事の指示をすることが必要です。
「P・F ドラッカー著 新しい現実 ダイヤモンド社」の著書の中に、
「一人の指揮者のもとで数百人の音楽家が共に演奏できるのは
全員が同じ楽譜を持っているからである。」との言葉があります。
部下に対し、仕事の全体像や目的を話すことは、
上記のオーケストラにおける楽譜を上司と部下でお互いに持ち共有することになり、
生産性の高い業務や生産性の高いコミュニケーションを取る上での基本となります。
管理職の方からは、研修後に、部下に対し、
仕事の全体像や目的を話すことを実践すると
下記のようなメリット(効果)が、実際に得られるとの声を頂きます。
1.仕事の全体像、目的を説明することによる部下のメリット(効果)
@押しつけのやらされ仕事ではなく、目標達成に責任を持って関わるようになる。
A出すべき結果が分かるため、余計な仕事をしなくてすみ業務の生産性が上がる。
B出すべき結果が分かるため、業務を早く、効率よく行うことを考えるようになり、
業務の改善が進む。
C仕事の全体像、目的を知らされることにより、仕事への参画意識が増し、
責任と意欲が増す。
2.仕事の全体像、目的を説明することによる上司のメリット
@自分自身が仕事の目的を常に意識するようになり、部下からの問合せに対し、
目的を踏まえた、応答となるため自分の言動に一貫性ができる。
A自分の言動に一貫性ができると、部下からの信頼が得られる。
B仕事の全体像、目的が共有されることにより、
仕事上の部下とのコミュニケーションが円滑になる。
■部下の仕事の進捗管理は管理職者のPDCAサイクル
におけるDOの重要な仕事
部下に仕事を与え「PLAN」、部下が与えた仕事を終了した段階で、
その仕事の内容をチェック「CHECK」し、やり直しの指示を出すだけで、
管理職者としてのPDCAを行っていると思っている
管理者の方が多くいらっしゃいます。
「PLAN」と「CHECK」の間で、部下の仕事の進捗状況の把握や
部下のモチベーションの維持・向上、部下の職務能力向上のための指導など、
管理職者として、本来、行うべき、進捗管理「DO」の業務を全く行っていない、
行わなければならない仕事として、気づいていないのが、
多く管理職者の方の現状です。
現実的には、部下を放置している状況ともいえます。
月、週、日、半日、1時間などのそれぞれの単位の中で、
管理職者として部下に、どのタイミングで、
何を話すべきなのかを考え、実践することが必要です。
管理職者として行うべき、進捗管理「DO」を意識的に行うことが、
仕事の品質の向上、納期遅れの防止、部下育成のために、決定的に重要です。
管理職者として行うべき、進捗管理「DO」がきちんとできると、
CHECKの段階で、改善すべき業務個所や今後の部下の育成内容も明確になり、
「ACTION」仕事の改善も進みます。
■部下育成のためには「ほめる」ことが重要
ほめられると部下は、自分の仕事に愛着を感じ、誇りを持つようになります。
よりよい仕事をし、仕事を発展させようと改善工夫も進みます。
一方、指示された仕事を行い、上司にチェックをお願いすると、
毎回、注意や小言ばかりを言われるだけでは、
部下のモチベーションは決して上がらず、仕事に愛着や誇りを持ちません。
部下をほめる際に実務上、留意すべき点をまとめると、下記のようになります。
1.当たり前のことでもほめるのが部下育成の基本姿勢
管理職者の方の研修において、部下の良い所を3つ、改善すべき点を3つ、
上げて下さいとお願いすると、改善すべき点は、直ぐ上げることはできるのですが、
良い所を一つも上げることのできない管理職の方もいらっしゃいます。
当たり前のことでもほめるというのが、部下を育成する場合の基本的姿勢として重要です。
「毎日休まずに会社に来てくれている」、
「毎日遅刻をせず10分前には会社に来てくれている」、
「一生懸命仕事をしてくれている」など、
当たり前のことでも機会があれば、声を掛けほめて上げることが重要です。
2.部下の長所、強みを活用し、ほめる
「穴を深く掘るためには回りを広げなければならない」という言葉もありますが、
人は、自分の得意な分野、強みを中心に成長していくのが、
現実的であり理想的と思われます。
部下の長所、強みを見つけ、活用し、ほめて上げるのが、
将来を見据えた部下の育成にとって重要なこととなります。
3.心を込めてほめ、人間味を伝える
口先だけでほめると、心が伝わらず逆効果になることがあります。
人間味が伝わると部下との心理的距離が縮まり、上司への信頼感を高めます。
ほめるときは、心を込めることが重要です。
4.計画的にほめる
部下の仕事を観察しておき、仕事ができた段階で
どうほめるのかをあらかじめ考えておきます。
ほめるときは何がよかったのか、できるだけ具体的にほめてあげます。
具体的にほめてあげると、次の仕事の参考になるとともに、
次の仕事を行うときの意欲が確実に高まります。
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